≪症状≫ 症状は、片側の下肢痛が多いが、巨大なヘルニアの場合、両側で症状が出現することもある。 下肢痛は、当該椎間板ヘルニアによる神経根圧迫により生じる。 腰椎4番と5番の間(L4/L5)と腰椎5番と仙骨1番の間(L5/S1)のヘルニアがもっとも多い。 疼痛、しびれなどの自覚症状に加え、障害された神経の支配領域にしびれを呈したり、運動神経の麻痺による筋力低下を来たすことがある。 稀に、排尿障害を呈する(S2-5症状)。 巨大ヘルニアの場合、馬尾症状が出現することがあり、脊柱管狭窄症の馬尾神経型と類似した症状を呈する。有名な症状は、間欠性跛行(はこう)であり、神経根周囲の血流障害により生じることが知られている。
≪保存的治療≫ MRIの普及などによりヘルニアの病態が解明されつつあり、多くのヘルニアが、自然に消退縮小することも解ってきました(組織球による異物貪食、分解作用によってヘルニアが小さくなる)。従って、急を要する症例(運動麻痺や直腸膀胱障害を認める症例)以外は、3〜6ヶ月間の保存的治療を行うのが一般的です。 腰椎椎間板ヘルニアは保存的治療により90%程度が改善すると考えられています。 保存的治療には漢方薬の併用が効果的です。 経験的には、3〜6ヶ月間で痛みやシビレが改善され、その後適切なストレッチや筋トレで弱った体幹部の筋肉を鍛え、約1年間で元の健康な腰を取り戻すことがができます。
≪手術の適応となるのは≫ ・保存的治療を3ヶ月間行っても痛み、痺れ、筋力低下が改善されず、日常生活支障があるとき。 ・我慢できない強い痛みのために日常生活が著しく制限されるとき。
・尿意がわからなく失禁したり、肛門が痺れて締りがなくなったときは緊急手術の適応です。
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